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脂肪のかたまり?

皮膚腫瘍の治療を多くしていると、大きな粉瘤に出会うことがよくあります。
それが目立つものであった場合、なぜこんなに大きくなるまで放置しておいたの?と、ついつい聞いてしまいます。
もちろん、ご本人が手術するのが怖くて、などの理由も多いのですが、それとは別に、近くの内科などの先生を受診したら、これは脂肪のかたまりだから、放置しておいて良いといわれたという方が、結構多くおられます。
皮膚腫瘍の治療をもっぱらとする皮膚腫瘍外科指導専門医としては、いけないのでしょうけどむっとしてしまいます。
粉瘤という、袋の中に角化物質(皮膚の垢みたいのものです)が溜まっていて、感染を起こすと破裂して膿が出てくるものを、脂肪のかたまりというのは明らかに間違っています。ただ、患者さんにしてみたら、内科も形成外科も医者の専門が何かとかはあまり気にされませんから、医者に大丈夫と言われたらそのまま放置してしまいますよね。
ただ、その後、腫瘍が大きくなって摘出が難しくなって来院されたり、破裂して服が膿だらけになったりしてクリニックに来られたり、本当に気の毒だなあと思うことがままあります。
専門外の先生方は、自分で診断がつかない皮膚腫瘍を診たら、ぜひ、皮膚腫瘍外科指導専門医に紹介していただきたいと思うこの頃です。


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