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皮膚腫瘍の手術を受けるときの専門医にかかったほうが良い理由

最近は、ネットという発信手段が発達したので、手術についても様々なことをホームページに載せる先生方が増えてきました。
昔にくらべて、どの先生がどのような専門分野が得意なのかが、わかりやすくなり、受診しやすくなったのはとても良いことだと思います。
ただ、それを正確な情報の発信ではなく、過剰に広告に使おうとされる方もまれにおられて困りものです。今後は厚生省の規制が入るようですので、期待しております。
 
さて、今回は、皮膚腫瘍の手術を受けるときに、なぜ、皮膚腫瘍手術の専門家に手術をしてもらわなくてはならないのかということをお話しします。
 
我々、皮膚腫瘍手術の専門家は、もちろん初診の患者さんの手術を行いますが、それ以外でも地域の基幹病院の部長とかをしていると、近在の先生方から紹介を受けたりすることがよくありました。
 
その際、自分のクリニックでできることを十分に理解しておられて、適切な時期に紹介していただけるクリニックが多かったのですが、まれに、どうしてここまで紹介してこなかったの?、と驚いてしまうこともありました。
 
ケロイドを安易に切除を繰り返す((注)ケロイドは単純に切除するとより大きく再発します)先生もおられました。患者さんの耳はゴルフボールほどになってしまっていて、治療に難渋しました。
また、耳下腺腫瘍は一見皮膚腫瘍に見えますが、実は耳の前の皮膚よりはるかに深いところにある腫瘍で、近くを顔面神経が通っているので、誤って神経を切ってしまうと顔面神経麻痺を起こします。顔面神経のつなぎ直しの手術はとても大変でした。
若い女性で、隆起性皮膚線維肉腫の患者さんの手術をしたことがあります。初めに腫瘍を近くの専門医でない先生が切除されて、そのまま放置されていて、再発を繰り返し、結局腕の切断をすることになってしまいました。
 
専門医でない先生でも、手術のうまい先生はおられます。
そんな先生にしてみたら、なぜ自分が手術をやってはいけないのかと思われるかもしれませんが、やはり、皮膚腫瘍や、皮下腫瘍の治療には、多くの落とし穴が潜んでいます。
落とし穴があることに気づかないで手術をすることは、患者さんに迷惑をかけるとともに、せっかく患者さんのためにと、治療を行ってきたその先生の人生にも傷をつけることになってしまいます。
 
ぜひとも、皮膚腫瘍の手術は皮膚腫瘍外科指導専門医に任せていただきたいと思います。


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